『WATALIS momsのしあわせものがたり』ができるまで
気が付くと「ハ〜」とため息をついている。温泉行きたい〜!が口癖。まだ朝なのに、すでに布団が恋しい。鏡を覗いたら、ゲッソリした自分がこっちを見ていた…。
そんな経験、ありますよね。少し前までのわたしは、まさに、そんな状態でした。
こんにちは! 宮城県亘理町のWATALISという会社で働いているアヤといいます。
今日は、わたしたちWATALISが新しく立ち上げたブランド、「WATALIS Momsのしあわせものがたり」に込めた想いをお話したいと思います。
わたしが働いているWATALISは、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた亘理町で、地元の女性たちが立ち上げた会社です。
一番の人気商品は、古い着物の生地で作った巾着袋「FUGURO(フグロ)」。有難いことに、地元亘理をはじめ、日本全国、そして外国の方からもご購入いただいています。皆さんに信頼され、優しく見守っていただいていることが わたしたちの日々の励みになっています。
太平洋に面し、田園が広がる小さなまち、亘理町。かつては養蚕も行われていたこの町には、昔から、布製品を大切に使いきる文化がありました。「小豆3粒包める布は捨てるな」おばあちゃんたちからそう言われて育った私たちは、ふるさとの文化を未来に伝えたいとWATALISを始めました。
長い年月をかけて培われてきた「感謝の心」「手仕事の技」「再生文化」という「地域の宝物」を人から人へ、大切に手渡したい。
そんな想いで、布を使ったものづくりに向き合っています。
さて、「withコロナ」や「新しい生活様式」が叫ばれる昨今、布製品と言って皆さんの脳裏に浮かぶのは「マスク」ではないでしょうか。
わたしたちWATALISも、通気性のいい布を使用した「エチケットマスク」づくりにスタッフ総出で取り組んできました。
使い捨てマスク1枚にも信じられない値段がついていた時期もありました。こんな時だからこそ、わたしたちにできるお手伝いがしたい。お客さまの「マスクがほしい!」という声を聞けば、1枚でも多く、一刻も早くつくりたい!という気持ちが高まって、もっとやらなくちゃ、もっとできるはず、と皆が同じ気持ちで頑張りました。
たくさんの布を洗って干して。布を触り続けると、手の油分がなくなりカサカサになります。朝から夜まで手を動かし、布を切り、ミシンを使う毎日。
そんな日々が日常になりつつあった時、ふと隣の席の同僚が、手を握ったり開いたりしていることに気が付きました。
ハサミの使い過ぎで、指が痛むのです。
裁断は思いのほか力がかかる作業です。一日に何百枚も布を切ると、ハサミを動かす指や、布を扱う指に負担がかかります。
ハサミの使い過ぎで赤くなった親指。アルコール消毒で荒れた手。腕もむくんで、固くなっているのが分かります。
(彼女、頑張っているもんなぁ…)そう思った次の瞬間、わたしはハッと気が付き、自分の手を見ました。
わたしの手も、彼女と同じでした。カサカサに乾いて、疲れ切っている。まるで、自分の心みたいに。
(そういえば、自分の為に何もしてないなぁ…)
コロナ禍という非常事態に直面したわたしたちは、いつのまにか、普段以上に働きすぎていたのでしょう。何かやらなくてはという義務感や先のことが見えない不安を紛らわせるために、ついついハードに働いて、自分を追い込んでいたのかもしれません。
この手は、「わたしの心」なのかもしれない。
思い返せば、自分のケアをおろそかにしているのは、コロナ禍の期間だけに限りません。
職場では、みんなの気持ちに応えたい!笑顔を見たい!と一生懸命働いて、家に帰れば、食事の支度、掃除、洗濯、子どもの世話と次から次にやることがあって。起きてから寝るまでが、まるでトライアスロンのようです。
だから、自分のことはいつだって後回しでした。
もっと仕事でスキルアップしたい、子どもの話をもっと優しく聞いてあげたい、素敵な女性でいられるように自分を磨きたい、とやりたいのにやれないことが増えていくばかり。全てをやりこなせない不器用な自分がもどかしくて、情けなくて、ちっぽけに思えて。
ストレスがたまってくると、“こんなに頑張っているのに、どうしてみんなは分かってくれないの!誰も手伝ってくれないの!”という気持ちが湧いてきて。
心の中で自分のことや、周りの人のことを ちょっぴり責めてしまう時もありました。
(「よくやってるよ」と、一生懸命な自分を褒めてあげればよかったのかもしれない)
赤くなった手指を見ながら、わたしは、ふと、そんなふうに思いました。
コロナ禍が私に気づかせてくれたしあわせのヒントは 自分を大切にすること、でした。自分を慈しみ大切にし、幸せを感じることができて、初めて、周りの人にも優しくなれる。もっとエネルギーが湧いてきて、もっとたくさんの人に、しあわせを届けられる。
ざわついていた心が、少しずつ落ち着いていくのを感じながら、わたしは、そんな当たり前のことを思い出していました。そして、使うたびに、ちょっとしたしあわせを感じられるモノをつくりたいという想いが湧いてきました。
迷ったり悩んだりしながら、不器用だけど一生懸命生きている。そんなわたしたちだからこそ、つくれる商品があるかもしれない。
「WATALIS Momsのしあわせものがたり」は、そんな想いから生まれたシリーズです。
「WATALIS Momsのしあわせものがたり」で扱う商品は、わたしたちが毎日使う日用品です。
マスクスプレーやアルコールジェルは、手指やマスクを清潔にする機能性とともに、すがすがしい天然アロマの香りにも、こだわりました。忙しい時間の合間に、ちょっとリラックスできるように。
エチケットマスクは肌触りのいい素材で、たくさんの柄を用意しています。いつでも、どんな場所でも、包み込まれるような気分になれるように。
商品を使う時間を、いたわりの時間にしてほしい。自分に、元気の魔法をかける時間にしてほしい。あわただしい毎日の中に どうやったらそんな時間をつくれるかな。いつもそう考えて、商品の企画をしています。
わたしはこの前、お客さまに商品を手渡す瞬間、自分の手から心地よいアロマの香りがすることに気が付きました。そして、しっとり潤った指先を見てちょっとニッコリしてしまいました。
「WATALIS Momsのしあわせものがたり」の商品がわたしに小さなしあわせを運んできてくれたのです。
いつも使うものを、少しだけいいものにすると、日常のふとした瞬間が、ごほうびになる。
「WATALIS Momsのしあわせものがたり」の品々を通して、「あなただけのしあわせ」を味わえる特別な時間を届けたいと思っています。